毛髪診断士のワンポイント講座[第1講]【フケ症の原因とその対策】
フケ症の原因とその対策について解説します。
垢と同じ皮膚の表面から古くなった角質細胞が剥がれ落ちたものがフケです。この角質細胞は皮膚の炎症が起きた場合に通常の表皮のターンオーバー(28日)よりも早く、剥がれるようになります。この炎症の原因は脂腺ヤカン泉の多い頭に皮脂や汗など付着した状態のまま、2〜3日洗髪せずにほおっておくと、かゆくなったり、地肌が赤くなったりという所謂頭皮に炎症を起こします。脂腺は絶えず皮脂を分泌し、これが汗と混じって形成するのが、皮表膜で、それは頭皮には特に多いもので、外部に露出している事もあるため、絶えずほこりなどの汚れにさらされています。これを放置しておくと微生物などの細菌の繁殖につながります。そのことは湿疹や毛根を弱らせ、脱毛にもつながってしまいます。特に、夏の暑い季節やスポーツをする人、汚れやすい環境にある人は、その状況に応じて、出来たら毎日洗髪することが必要となります。毛の美しさを保つこと、清潔な頭皮を維持することの基本はシャンプーであることを理解し、一日1回、少なくても二日に一回は洗髪を心掛ける事が必要です。特にフケ症のひどい人のためには、常在細菌であるマラセチア菌など細菌の増殖を抑えるために、抗真菌剤(ジンク・ピリチオン、ピロクトン・オラミン)や殺菌剤を添加したシャンプー剤など医薬部外品として市販されているものを使用することは効果的です。特に若い女性にも多いですが湿っていないサラサラしたフケを気になる人は、シャンプーの回数を増やしたりし、洗えば洗うほど洗いすぎによる角質細胞の過度な乾燥の原因によるものです。このような傾向のある方は、洗髪回数を減らしたり、シャンプ―剤の量を少量にし軽く洗うようにする事や頭皮の保湿剤を使うのも有効的です。
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毛髪診断士のワンポイント講座[第2講]【白髪の原因とその対策】
白髪の原因とその対策についてメラニン色素の仕組みを交えて解説します。
メラニン色素は、成長期の毛母・色素細胞(メラノサイト)の働きでアミノ酸の1種チロシンから作られます。毛球で毛を作る毛母細胞に取り入れられて、毛タンパク質と結合して水に溶けない状態となり、毛皮質に含まれています。この色素は褐色ないし黒色の色素(ユーメラニン)で、毛の色はメラニン色素の量によるものです。毛の中にその量が多ければ多いほど黒色のも濃くなり、その量が減るにつれて、褐色から茶色、金色に変わります。また、赤色の毛はフェオメラニンという黄ないし赤褐色の色素によるものです。この色素もメラニンと同じくチロシンを基質として作られますが、途中からメラニンと異なる経路で生成されます。日本人などアジア人の毛は黒色ですが、時には褐色あるいは栗色がかった毛の人もいます。毛の色は遺伝的な要素なので、生涯変わることは有りません。毛は強い紫外線やブリーチ剤などによって変色することが有ります。これは、メラニン色素が分解して起きた一時的な現象ですので、新たに伸びてくる毛の色は本来の色に戻ります。ただし、白髪は別要因で、髪の老化現象です。そのメラニン色素が無くなると、黒く見えていたものが白髪になります。毛球部の色素細胞の機能低下やその数の減少・消失などが要因で、色素細胞そのもの代謝過程で、変化が起こり、色素が無くなります。メラニン色素を作るための酵素(チロジナーゼ)の活性は子供の頃より成人になるにつれて高まります。加齢と共に発生する白髪ですが日本人の白髪平均発生年齢は、男性が30歳代前半、女性が30歳代後半で、頭毛の半分が白くなるのは55歳ころで、女性の方が男性よりもやや早い統計がります。遺伝的な要素や精神的ストレス、食事などの栄養状態も関係が有りますので、個人差が大きいのも白髪です。また、太く長い毛の方が白髪になり易く、順番としては頭毛(特に側頭部に目立ち始め)から始まり眉毛、あごひげ、腋毛、陰毛は遅れます。白髪は一度生じると黒い毛に戻ることは有りません。美容的に染めることが唯一の対策です。
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毛髪診断士のワンポイント講座[第3講]【毛髪診断の重要性と目的】
毛髪診断の方法と目的・意義を交えて解説します。
損傷毛の診断・脱毛原因相談・頭皮の異常の時を含めて、適切に把握し、適正な施術をするためにも大変重要な意味を持っているのが毛髪診断の目的です。相談者の方の中には脱毛症にかかっていたり、頭部湿疹・脂漏性皮膚炎・フケ症の方と様々ですので、毛髪科学・皮膚科学・香粧品科学などの専門的知識を十分に習得した毛髪診断技術を会得した所に相談することが必要になります。更に、パーマ・ヘアダイ・ブリーチ等の施術の事故(毛の損傷を出来るだけ防ぎ、美しく仕上げるなど)を防止するためにも大きな意味が有り、その基礎となるのが毛髪診断です。毛を傷める性質も強いパーマ用剤・ヘアダイ剤・ブリーチ剤などは毛質に合った製品を選択し、使用時間やプレトリートメント剤の使用による配慮などの基となるものです。毛は個人差が大きく、太い毛・厚い毛からネコ毛・薄い毛など、細かくやわらかい毛もあります。更に、枝毛や裂毛が多くて、パーマやヘアダイの施術に適している毛が否か状態を見分けるためにも大きな役割を果たします。これらの調査項目に加え検査結果からの総合的な組み合わせた判断を要します。色調・枝毛・裂毛・断毛等を見る肉眼による観察から毛根状態・毛幹表面をみる顕微鏡観察があります。また、毛髪強度・水分・太さ・長さこれらの測定も必要です。指導後の改善の推移をみるためにも、相談・診断・指導項目など毛髪診断カルテを作成し保存していくのが望ましい毛髪診断です。
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毛髪診断士のワンポイント講座[第4講]【パーマの原理と取り扱いの重要性】
パーマを毛の組織の仕組みや原理を交えて解説します。
毛の硬さ・強さや太さの基となるシスチン(アミノ酸の一つ)は、それぞれ独立したシスチンの結合により毛の弾力性と深くかかわっています。そのシスチン結合を弱め弾力性を失わせることにより、毛を曲げるようにする事が「パーマネントウエーブ」です。非常に強固な結合力を持ち、簡単に切れない「シスチン結合」です。その結合をいったん切り、自由に曲げられる状態にした上で、結合が収縮し、再びシスチン結合を生成させる事が、パーマがかかる原理です。所謂パーマ用剤第一剤の還元剤はこの切断の役割を、パーマ用剤第二剤の酸化剤で酸化させ、結合を復活させる役割をそれぞれ化学変化を起こさせるのです。
このような強く毛に作用する力を持ち合わせているので、皮膚障害や毛の損傷などそれ相応の刺激と作用をもたらすパーマ用剤です。皮膚の弱い人や体調の悪時などには、多くの毛粧品や医薬部外品の中でも専門性が高いので、施術はもちろん保管上でも、特に注意・配慮が必要なのです。
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毛髪診断士のワンポイント講座[第5講]【男性型脱毛症について、その原因とケア】
男性型脱毛症について、その原因とケアを解説します。
一種の生理的老化現象ですので、発症する年齢が早くて17歳、多くは20〜30歳と早いため、いわゆる若ハゲといわれるのが、男性型脱毛症です。若年性脱毛症や壮年性脱毛症とも呼ばれて遺伝的な体質を持っている人に多く発症しています。毛乳頭細胞に有ることが近年判明した男性ホルモンを受け入れる受容体(レセプター)。ここから出される成長阻害因子が毛母細胞に影響を及ぼしている事が原因として明らかになってきています。前頭部から頭頂部の毛、あごひげ、腋毛、陰毛等に男性ホルモンは影響するが、後頭部や眉毛には影響が有りません。一方、女性でも40歳前後から更年期の女性には、女性ホルモンの分泌の減少により、男性ホルモンとのバランスが崩れて、女性における男性型脱毛症に似た症状が生じます。
徐々に進行するので、進行を遅らせる事が出来ても進行を止め、元の状態に戻すことは簡単なことではありません。短く柔らかい毛が多く、抜け毛が多く、脂漏性の高い体質の方に多いので、頭皮を常に清潔にする洗髪がまず第一に、脱毛への期間を延ばすことにつながります。他に、血流促進の効果が高いマッサージ、頭皮の加温するスチーマー・赤外線などは、薬効成分が配合されている育毛剤を併用しながら血行促進・皮膚機能促進作用・細胞活性作用など効果を高めていけます。最近では、男性型脱毛症内服治療薬剤もアメリカなどから日本にも入ってきました。
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